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#56 「遭難の考え方2 プチ遭難を見逃すな!」

前回に続いて 遭難の考え方について書いていきます。

個人的な主観で書いています 賛否はあるかと思いますが

あくまでも一個人の考えとして受け止めていただければと思います。ご理解ください。

 

第一章 プチ遭難 気づけていますか?

 

これから書く内容は 私自身のある日の山行です。

皆さんも できれば 状況をイメージしながら読んでいただけたらと思います。

 

登山歴 3年目 

それまでの山行は ビギナーズラックが続き 好天の中の登山ばかりだった。

 

そんなある日

夜勤が終わり 午後21時半頃に帰宅する。

私は 翌日 早朝から 過去に登ったことのない十勝岳連峰の 美瑛富士~美瑛岳へ登る計画をしていた。

翌日の天候は 私が活用している「てんきとくらす」では 午前中はC 午後からはAだったため 問題なしと判断した

帰宅後 そのまま準備をして 車で1時間半ほどの場所にある 望岳台という登山口へ前のりする予定だったのだが 晩酌が三度の飯よりも好きな自分にとっては 我慢できるはずもなく 予定を変更し 準備だけはして 翌朝 早めに出発することにした。

 

翌朝 4時に起床し 4時半には出発していた。(前日の飲酒量は ビール500mml一本で自己所有のアルコールチェッカーで酒気帯び運転にならないことを確認済み)

 

出発後 30分程 車を走らせた時 登山靴を積み忘れたことに気づき 引き返す。

 

6時に登山開始予定だったはずが 1時間遅れの7時開始になってしまった。

 

遅れを取り戻すように 自然とペースは早くなる。

 

事前に下調べしていた 危険箇所も 特に注意もせず 足早に通過する。

 

美瑛富士分岐までくると 視界が悪くなり恐怖を感じるほどの爆風が吹きつける。

 

命の危険を感じ 風を避けるために近くの岩場を盾にし 雨具を着て エマージェンシーシートに包まり 行動食を口にする。

 

30分程ビバークしていたら 予報通り 段々と天候が回復してきたのでそのまま登山を継続し無事下山した。

 

下山時刻は当初の予定より1時間半ほど遅れていた。

 

 

 

第二章 無事に下山したから良しではない

 

その頃の私は のど元過ぎればなんとやらで この山行で危険な目に遭ったということを 特に気にも留めていなかったし「この様な登山も自分の経験となる」とむしろ前向きに捉えていた。

 

この経験は その後も 私が登山計画を立てる中で 「もし あの時の様に視界が悪かったら」「もし気温が低い日にあの時の様な強風にさらされていたら」などと事あるごとに思い出されるものとなった。

そういった面ではより慎重な計画を立てる事が出来るようになったのでこの経験は良い経験だったと考えられなくもないが厳しく言えば 危ない思いをしながらでも下山できたからそう言えるだけの結果論でしかないのだ。

第一章で赤文字で書いた判断や行動・天候などの何か一つの歯車が狂ってしまえばそのまま死に直結するような遭難事故に繋がってしまう。

中にはこの記事を読んで オーバーだとか 考えすぎと感じられる方もいるかもしれない。私の周りにもそういう人は大勢いる。それはそれで否定も肯定もするつもりはないが もしもまだ読む気持ちがあるのならもう少しお付き合いいただけないだろうか?

 

第一章で赤字で書いた部分を掘り下げて考えてみようと思う。

 

好天の中の登山ばかりしか経験していなかった

最初の2~3年はどこの山へ行っても晴天で全く天候での不安が無かった為 天候が崩れた山を経験していなかった。 そしてどこかで 自分が登山をする時は晴れるんじゃないか?と根拠のない考え方をしてしまっていた。

プチ遭難 その① 悪天候を想定していない

 

過去に登ったことのない十勝岳連峰の 美瑛富士~美瑛岳へ登る計画をしていた

 

単独行であること自体危険度が増す。まして登ったことのない山へ一人で行くという事は相当の危険を伴う事を自覚しなければならない。

美瑛富士~美瑛岳は登山者も少ない為 何かトラブルが起きても気づいてもらえない可能性が高いし 地図上で危険箇所などを調べたところでやはり百聞は一見に如かずだ。

出来る事なら 登ったことのない山へ単独で行くのは避けるべきだろう。

プチ遭難 その② 未経験の山へ一人で登る 

 

 

その日の天候が午前中はC 午後からはAだったため 問題なしと判断した

 

登山の前は小まめに天候をチェックしているが 前述の通り悪天候を経験しておらず午前中は悪くても午後から回復するという予報で楽観視してしまった。

プチ遭難 その③ 天気情報の楽観視

 

 

行動予定の変更

 

行動予定の変更はよくあること。 だが 予定を変更するということはそれだけ先の予測が出来ていなかった(甘かった)ことにもなる。

ここでは 前のりを止め翌朝の出発に変更している。

急な予定変更は気持ちの切り替えが難しく 見落とし 忘れ物 誤った計画などを誘発しやすい。コロコロと予定を変更する人はそもそも計画自体がしっかりと組み立てられていないことが多く 予定を変更する度にリスクも上がると考えたほうが良い。

プチ遭難 その④ 先の予測(計画)が不十分

 

登山靴を積み忘れたことに気づき 引き返す 結果 1時間遅れで登山開始

 

案の定 登山靴を忘れ引き返すこととなった。 その時点で登山開始時間が遅れることは間違いないので計画の見直しが必要となる。登山を中止するという選択肢なら問題はないが登山を継続するという選択をした場合 その後の行動には 「遅れ=焦り」というリスクが常について回る。焦りは周りのものが見えなくなったり 冷静な判断が出来なくなる。

プチ遭難 その⑤ 気持ちの焦り

 

 

遅れを取り戻すように 自然とペースは早くなる 危険箇所も 特に注意もせず 足早に通過する

 

遅れを取り戻そうという焦りからペースは自然と早くなる 自分のペースを乱し足が攣ったり いつも以上にカロリーを消費してしまいシャリばてなどの危険性も上がる。急ぐことで転倒や滑落の危険度も増す。 焦りから冷静な判断力も低下し 道迷いなどのリスクも上がってしまう。

車の運転に例えるとイメージしやすいが 走行スピードが速くなればなるほど燃料(カロリー)消費量も多くなりガス欠(シャリバテ)になりやすい。また周りの情報が正確に把握できず 見落としや誤認知・操作ミスなどを誘発し事故(遭難)に繋がりやすくなる。

プチ遭難 その⑥ 焦りは全てのリスクを誘発する

 

そのまま登山を継続し予定より1時間半ほど遅れ無事下山した

ここまで読んでいただいた時 この状態で登山を継続したこと そして予定より遅れて下山したことに「無事」という言葉を使用するのは適切だと思えるだろうか?

この山行中 青文字で書いた部分は既に「遭難している」のだ。

計画・経験・登山のスタイルや考え方・体調・心理状態などで小さな遭難は既に始まっていることが多くそれをどの段階で気づけるか?がとても重要な事だと感じている。

プチ遭難 その⑦ 遭難は出発前から既に始まっている。

 

最後に

ハインリッヒの法則をご存知だろうか?

労働災害や交通事故などでよく使われる法則で

1件の重大(死亡)事故の背景には 29件の軽微な事故と300件のヒヤリハット(怪我に至らないミスや危険)が潜んでいるという法則です。

 

登山で例えると

1(遭難で死亡又は救助が必要な遭難):29(遭難はしたが自力で下山できた):300(プチ遭難)といったところだろうか。

この様に 普段 怪我もなく登山を終え 楽しい山行だったと安堵していてもその工程の中には 遭難に繋がっていないだけの「プチ遭難」が数多く発生しているはずだ。

日帰り登山だからと非常時用の装備を持たずに登山をしたことはないだろうか?登山中に転倒したことはないだろうか?登山中にコースを見失ったことはないだろうか?調子が良くついついハイペースで登っていて足が攣ったことはないだろうか?そういった小さな失敗こそ見逃してはならないプチ遭難なのだ。

登山後は そういったプチ遭難がなかったか?を振り返る時間が必要だと私は思う。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。